樹木の紹介 Introduction 森林生活では岐阜県の森に生息する樹木を中心に、様々な木の恵みから製品作りをしております。
一見すると同じように見える木も、葉の形や木肌、精油の香りやその成分に至るまで多種多様な魅力があります。
木の個性を知ることで、木のある生活が益々楽しくなることと思います。

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ヒノキ(桧、檜)

ひのきの特徴はその豊かな芳香で、世界のどの樹木と比較しても郡を抜いた香りの良さがあると言われます。建材としても耐湿、耐水性に優れ、光沢のある美しさも備えていることから、昔から神社仏閣を中心に高級建材として使用されてきました。
世界最古の木造建築である「法隆寺」はひのきで建てられておりますが、1,300年が経った今も変わらぬ強度で立ち続けています。昭和の大修理に携わった名棟梁によれば、1,300年前のひのきの表面をカンナで削ると、未だに特有の香りを放ったそうです。
ひのきは全国で著名な産地がありますが、森林生活では特に香り高いと言われる岐阜県の「東濃ひのき」を使用しています。「東濃ひのき」の生木を加工すると、あたりいっぱいに爽やかな香りが広がるので、加工の度に幸せな気分になれます。

  • 科名:ヒノキ科ヒノキ属の常緑針葉樹
  • 学名: Chamaecyparis obtusa
  • 産地:日本固有種で福島県以南から九州に生息

スギ(杉)

杉はひのきと共に日本を代表材する固有種で、国内の樹種の中で最も多い植林面積を持っています。世界一長寿の樹木である屋久島の「縄文杉」は樹齢7,200年と言われており、この力強い生命力や太く真っすぐ育つ姿から、杉は昔から神秘的な存在として日本人に崇められてきました。
杉は日本の食文化にも馴染み深く、「割り箸」の素材に多く使われます。また、その香りによって味に深みが出ることから、酒や醤油、味噌などの「樽」にも使われてきました。香りに防腐作用があるため長期保存にも適しているようです。
森林生活では、岐阜県産の「長良杉」を使用します。長良杉は豊かな芳香に加え、中心の「赤身」と周辺の「白太」がはっきりと分かれるものが多く、そのコントラストの美しさに定評があります。チップに加工すると紅白のチップが交じり合い見た目がとても華やかです。

  • 科名:ヒノキ科スギ亜科スギ属の常緑針葉樹
  • 学名: Cryptomeria japonica
  • 産地:日本固有種で東北から南は屋久島まで生息

ヒメコマツ(姫小松)

「ヒメコマツ」と聞いてピンと来ない方もいらっしゃると思いますが、別名の「ゴヨウマツ」の方が一般的に知られた名前だと思います。ヒメコマツは岐阜県飛騨地方で古くから建材として利用され、飛騨を代表する樹木ブランド「飛騨五木」の一つに数えられます。
加工がしやすく、狂いが少ないことから、梁(はり)や鋳物の木型などに使用されます。木肌はクリーム色で柔らかく、その見た目と「ヒメ」がつく名前から女性的と形容されます。盆栽や庭木などの観賞用としても人気が高い種です。
様々な形で楽しむことができるヒメコマツですが、最も特徴的なのは精油の香りです。フルーツのような甘みを含む香りは、森林生活で行うワークショップでも常に好きな香りの上位に挙げられます。飛騨のヒメコマツは伐採時期が限られているため流通量が少ないですが、もっと多くの方にヒメコマツの香りの良さを知ってい頂きたいです。

  • 科名:マツ科マツ属の常緑針葉樹
  • 学名: Pinus parviflora
  • 産地:日本固有種で北海道から九州の山地に自生

ヤマザクラ(山桜)

ヤマザクラは我が国の桜の中で最も代表的な種類で、古くから詩や歌に詠まれて親しまれてきました。有名な奈良県の「吉野山の千本桜」はこのヤマザクラです。一見するとソメイヨシノと見分けがつかないかもしれませんが、満開を過ぎてから葉が芽吹くのがソメイヨシノで、開花と同時に葉が顔を出すのがヤマザクラです。木質は重硬で強靭なうえ、加工性、着色性に優れ、褐色の木肌は磨くと光沢がでることから、高級家具材として人気があります。また燻製で使われるスモークチップはこのヤマザクラが最もポピュラーです。
木部には針葉樹のような爽やかな香りは無いものの、落ち着いた気品のある香りがほのかに感じられます。森林生活では飛騨産のヤマザクラを使用します。

  • 科名: バラ科サクラ属の落葉広葉樹
  • 学名: Cerasus jamasakura
  • 産地:日本固有種で本州、四国、九州に自生

コウヤマキ(高野槙)

コウヤマキの和名の由来は、「高野山」に多く自生していることから来ています。高野山では霊木とされており、昔から仏花や高級棺の材料になるなど、日本の文化的・宗教的な面からも重要な木とされてきました。「木曽五木」と「高野六木」の一つに数えられます。
建材としては丈夫で朽ちにくく水に強いことから、水桶や船舶、橋などに使用されます。
精油も特徴的で、清涼感のある神秘的な香りを放ちます。高い抗菌作用を持つので歯磨き粉などの原材料にも使用されています。森林生活では飛騨産のコウヤマキを使用します。

  • 科名: コウヤマキ科 コウヤマキ属の常緑針葉樹
  • 学名: Sciadopitys verticllata
  • 産地:日本固有種で、本州中部から四国、九州の山地に自生

アスナロ(翌檜)、別名ヒバ(桧葉)

アスナロの名前の由来はひのきに似ているのに小ぶりであることから、「明日はひのきになろう」という希望を持った意味で付けられたそうです。漢字は当て字で「翌檜」と書きます。一般的にひのきの方が木肌の美しさから高級材として扱われることが多いですが、アスナロが発する力強い香りは、いくつかの点でひのきの香りよりも優れていると言われます。
抗菌作用と美肌効果で有名な「ヒノキチオール」は、ひのきよりもアスナロの精油に多く含まれます。また精油の半分以上を構成する「ツヨプセン」という成分にも高い抗菌作用と防虫効果があります。アスナロ材は耐水性と防腐作用に優れることから、橋やまな板の素材に適しているようです。
アスナロは全国各地で様々な名称で呼ばれていますが、青森県や石川県などでは「桧葉(ヒバ)」の名称で有名です。森林生活では飛騨産のアスナロを使用します。

  • 科名: ヒノキ科アスナロ属の常緑針葉樹
  • 学名: Thujopsis dolabrata
  • 産地: 日本固有種で北海道南部から本州、四国、九州に及ぶ。